HOME > ブログ > 保護者向け記事 > 高校英文法を克服するために(第1回)|躓く理由

高校英文法を克服するために(第1回)|躓く理由

高校英文法が難しい8つの理由:問題提起と具体例の分析

高校生が英文法を難しく感じる背景には、学習方法や学習量に関するいくつかの要因が複雑に絡み合っています。ここでは、具体例やデータを交えながら、高校英文法がなぜ難しいのか、その問題点を整理します。

1. 英文に触れる絶対量が少ない

多くの高校生にとって、日常的に英語に触れる機会が限られていることが文法習得を難しくしています。英文法は実際の英文で使用される中で初めて「使える知識」として定着しますが、学習時間が不足すると文法が断片的な知識に留まり、応用が困難です。また、語彙と同様に文脈を通じて文法を習得することが効果的であり、長文読解や音声教材などで触れる機会が求められます。

具体例: 現在完了形を「してしまった」と覚えても、英文で実際にその表現に出会う機会が少ないと、過去形との使い分けが曖昧なままになります。

2. アウトプットの経験値が少ない

文法は単に「知識」として覚えるだけでは不十分で、実際に使う「アウトプット」の経験が不可欠です。多くの高校生はアウトプットの機会が不足しており、文法を頭で理解していても実践的な応用力が不足しています。理想的な学習配分はアウトプット2割、インプット8割とされていますが、アウトプットが不足すると知識が活用されないままです。

具体例: 中学英文法を学び終えた後、高校英文法に入る前に26か月をアウトプットの練習に充てることで、文法がより定着しやすくなります。

3. 勉強量が不足している

家庭学習時間が限られる高校生にとって、英語に割ける時間が少なく、結果として文法理解が浅くなる傾向があります。特に文法は基礎力の土台であるため、日々の家庭学習で130分でも英語に取り組むことで学習効果が大きく変わります。しかし、他の教科や課外活動の影響もあり、英語に時間を割けないことが理解を妨げます。

具体例: 河合塾の調査によると、難関大学を目指す高校生でも英語に費やす時間が不足しており、文法理解が不十分なままになるリスクが指摘されています。

4. 中学英文法が定着していない

高校の英文法に進む前に、中学で学んだ基礎文法が定着していないことが高校英文法の理解を妨げる原因となっています。高校文法の多くは中学文法を応用する形で進むため、基礎が固まっていないと複数の文法事項が絡み合う応用問題に対応できません。高校文法の約80%は中学文法の発展形であるため、基礎を繰り返し学ぶ必要があります。

具体例: 「過去形」と「現在完了形」の使い分けが不明瞭なままだと、「してしまった」と言いたい時に「I have lost my wallet yesterday」と誤用してしまうことが多いです。

5. 丸暗記に頼った学習

多くの高校生が文法を丸暗記で覚えようとしますが、理解が伴わないと応用力が育たず、実際の文脈で使用できない知識にとどまります。丸暗記に頼る学習では文法が「使える知識」として身に付かず、忘れやすいというデメリットもあります。文法は背景や理屈を理解してこそ応用できる力が育ちます。

具体例: will」と「be going to」の使い分けを丸暗記しても、微妙なニュアンスを理解しないと適切な使い分けができません。

6. いきなり高校英文法の問題集に手を付ける

基礎理解が浅い段階でいきなり高校英文法の問題集に取り組むと、理解が追い付かず、かえって混乱するリスクがあります。高校文法の問題集は入試頻出の重要項目が中心で、網羅的な理解には向いていないうえ、古い表現や形式が含まれていることも多いため、実際の文法理解には役立たないことがあります。

具体例: 頻出の「時制」に関する問題や「marry」という単語の特殊な用法が問題集に含まれず、学習に偏りが生じる場合があります。

7. 塾や予備校に通えば英文法ができるようになる、という考え方の誤解

「塾や予備校に通えば英文法ができるようになる」という考えは誤解です。塾や予備校では文法の理屈を教えてもらえますが、知識を「使えるスキル」にするには反復や実践的な練習が必要です。実際には、短時間で知識を繰り返し使う自己学習が効果的であり、塾で得た知識を自主的に定着させることが重要です。

具体例: 参考書を活用して自分のペースで学習し、理解を深める反復練習を日常的に続けることが重要です。演習量が豊富な塾や予備校でも、自己学習を組み合わせることが効果的です。

8. 慢心による誤解

保護者や生徒が学校の成績を「理解の指標」として考えがちですが、これにはリスクがあります。学校のテストは暗記中心の問題が多く、真の理解が問われるとは限りません。テストで平均点以上を取っていても、高校英文法に進むにつれて急に成績が伸び悩むことがあり、テスト結果に安心せず基礎理解を確実にする姿勢が重要です。

具体例: 中学や高校の初期では成績が良くても、基礎の定着が不十分だと大学受験レベルで急激に成績が落ちることが多々あります。理解度の確認を怠らず、常に基礎の復習を行うことが大切です。

まとめ

高校英文法が難しいと感じる背景には、「英文に触れる量の不足」「アウトプットの経験不足」「勉強量の不足」「中学英文法の定着不足」「丸暗記に頼った学習」「基礎理解が不十分な段階での問題集の使用」「塾や予備校への依存の誤解」「慢心による誤解」といった複数の課題があります。こうした問題点を明確にすることで、効率的な学習法やサポート方法を検討し、英文法の理解を深める基盤を整えましょう。